森 小児科医院
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日々の診療での思いや、医療制度について、毎月の予定なども掲載します

2013年6月4日
国の感染症対策の不備を嘆く New

2011年4月29日
TPPについて New!

2010年10月17日
混合診療ってご存じですか?

2009年6月3日
インフルエンザに思う
4月末より、メキシコ発の新型インフルエンザが世界に感染拡大し、我が国でも感染が拡大しました。
国の対応、マスコミの対応は、一定程度理解できなくもありませんが、今後の課題も含めて、検討すべきものが多いと思います。
何よりも、適切な情報提供が必要ですが、正確な情報より、興味半分の情報の方が国民には受けてしまうのでしょうか?医学的に問題のある報道も多々みられました。また、この人が、感染症の?ウイルス学の?専門家?と疑問を持たざるを得ない医師がワイドショーに出てくることには、多くの医療関係者は鼻白んでいたのではないでしょうか。
インフルエンザは、国内侵入を完全に防ぐことは不可能です。市中に蔓延したときの対策を、冷静に、かつ重症化を防ぐように対応することが大切だと思います。

インフルエンザに思う2

いつかは出現してパンデミックを引き起こすであろうと思われていたH5N1型の鳥インフルエンザ対策を昨年より機会あるごとに広報して参りました。この冬も大過なく終わり次シ−ズンに向けて準備をと思っていた矢先に、メキシコに端を発した豚インフルエンザがWHOにより425日に新型インフルエンザと判断されました。その後、瞬く間に世界に感染は拡大し、我が国においても、59日にカナダより帰国の高校生に感染が確認され、その後、516日には兵庫県で国内におけるヒトーヒト感染が確認され、17日以降、兵庫、大阪で300人を超す感染者が確認されるとともに、京都でも521日に初の感染者が報告されており、他府県にも感染は拡大しております。

早期より、現在の新型インフルエンザについては、感染力は強い(新型で免疫を大多数が持っていないから当然であるが)が、症状は軽いと(いわゆる弱毒型)現状では考えられるため、通常の季節性インフルエンザの流行期の対応に加え、新型であるために、蔓延防止に細心の注意を払うということで十分に対処できると考えています。

当初の予測通り、水も漏らさぬ検疫での国内進入は阻止できませんでしたが、来るべき強毒性の新型インフルエンザへの対応のよいシミュレーションにはなったと思いますし、日常的な備えが必要であることを多くの国民が認識したのではないでしょうか。

大阪、兵庫を始め京都からも適切な国の対応を強く求める声が挙がり、国の重い腰がようやくあがりかけてはおりますが、とても、現状を乗り切るにふさわしい指針が出されている状況ではありません。感染症の危機的状況における対応は医療機関、医師会だけでできるものではありません。発熱外来への府民、市民の過剰な集中は勤務医の疲弊を招くとともに、病院機能の崩壊を招きかねないため、適切な対応が求められます。住民に冷静な対応がなされていないのも現状であります。こういう状況下では、いわゆる流言飛語がまことしやかに流れる可能性もあり、混乱を招かないよう一層の的確な情報提供を府医、医療機関においても行うとともに医療資源の確保が求められます。

また、医療機関が日常診療の中で何をなすべきか、新型インフルエンザが強く疑われる患者さんが来院したときにどうすればよいのかというのが開業医の偽らざるお気持ちと思います。

なお、今後の対応として、現在、検査キットの確保とサージカルマスクの確保が喫緊の課題であります。メーカーに増産依頼がなされておりますが、急なことでもあり6月中旬が目途で徐々に供給されるようであります。今冬のインフルエンザ流行期に備えてのさらなる供給体制を求めて参ります。また、現在PCR検査で確定診断がなされておりますが、新型インフルエンザやA香港型の鑑別のできるキットが開発されれば、今冬のインフルエンザ流行期においても各医療機関で迅速かつ適切に対応できるはずです。今冬の流行期にあわせた開発を要望したいと思います。さらに、ワクチン開発を迅速に行い、なるべく早い時期に、季節型のインフルエンザワクチンに新型インフルエンザのワクチンを混合したものが開発されれば、今後の流行防止対策として期待が寄せられます。

感染症学会のレポートにもありますように、新型インフルエンザは、感染を繰り返しいずれは数年を経て季節性インフルエンザとなり、全国民が罹患することは避けられません。その流行を未来永劫阻止することは困難です。いかに、初期の流行の伝搬速度を遅らせ、二次、三次の流行に備えるか、そして罹患された患者さんが重症化して亡くなられたり、後遺症を残されないように適切な治療を行うかが医療界に課せられた責務だと思います。繰り返しになりますが、現在の新型インフルエンザの流行を完全に阻止することは不可能です。冷静で慎重な対応が望まれています。

院長の独り言